はじめに
侮辱罪の厳罰化について
⇒2022/2/23追記 昨年の検討段階から2022/3/上旬に法案提出へ進みました
⇒2022/6/14追記 厳罰化改正法案が可決しました
AV女優への誹謗中傷は止めよう【侮辱罪に懲役刑導入を検討】
ネット上の誹謗中傷で懲役刑の導入を検討中
AV女優さんのSNSを見ていると、心無い人からの誹謗中傷に悩む姿を見かけます。「生きてる価値ない」「親に言える仕事なのか?」等々社会性の無い人たちからのコメントがネット上には溢れていて、それが直接AV女優さんに届いてしまっています。
そんな世の中に法務省が動き出しました。
ポイント
インターネット上での 誹謗 中傷対策を強化するため、法務省は刑法の侮辱罪を厳罰化し、懲役刑を導入する方針を固めた。来月中旬に開かれる法制審議会(法相の諮問機関)で同法改正を諮問する。罰則の引き上げに伴い、公訴時効も1年から3年に延びる。ネット上の投稿は加害者の特定に時間がかかり、摘発できないケースもあるが、法改正により、抑止効果や泣き寝入りの防止につながるとみられる。
読売新聞オンライン:https://www.yomiuri.co.jp/national/20210829-OYT1T50260/
厳罰化を検討中の侮辱罪と名誉棄損の違いとは
侮辱罪って何かと言うと「公然と人を侮辱した行為」に適用される法律で、悪口をいっただけでも成立します。
似た様な罪で耳なじみのあるものは名誉棄損罪でしょう。こちらは社会的評価を貶めるおそれがある発言に適用される為、より具体性が求められます。
例を上げると次の通りで、個人の浅い発想からくるものは侮辱罪で、事実確認ができるものは名誉毀損に当たります。
ポイント
侮辱罪:「ブス」「バカ」「死ね」
名誉毀損:「過去に○○と不倫していた」「○○は脱税しているらしい」
当然、罰の内容にも違いが有ります。
ポイント
侮辱罪:30日未満の拘留又は1万円未満の科料
名誉毀損:3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金
そして厳罰化の検討内容は、1年以下の懲役若しくは禁錮と30万円以下の罰金です。名誉棄損までは重くはならないですが、現状の侮辱罪からみるとかなり罪が重くなっています。

テラスハウス木村花さんの一件は、9000円の科料だった
記憶に新しい侮辱罪といえば、テレビ番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラー木村花さんが自殺した問題です。
「生きてる価値有るのかね」「きもい」等とtwitterに書き込んだ男性2名が受けた罰は9000円の科料のみ。
実際に若い命が1つ自ら命を絶つという非常に痛ましく悲しい事件ですが、2名の男性は直接ナイフで刺した訳でも無く、首を絞めた訳でも無いので殺人では無いです。侮辱罪です。
確かに木村花さんがネット上の誹謗中傷に悩んでいたことは間違い無いでしょうし、自殺に至った原因の一つでしょう。ただ直接的な殺人とは違って自ら命を絶っている訳で・・・
世の中の動きに法整備が追い付いていない状況ですね。
2022/2/23追記 法案提出へ
2022/2/22に侮辱罪を厳罰化する刑法改正案が、自民党法務部会で示され了承されました。
今年の3月上旬に改正案を国会に提出する方針との事です。
内容は次の通りです。
侮辱罪は公然と人を侮辱する行為が対象で、現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」。改正案ではこれに「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を加える。公訴時効は1年から3年に延長となる。
引用:共同通信
2022/6/14追記 改正刑法可決成立
2022年6月13日に侮辱罪の厳罰化を盛り込んだ改正法案が参院本会議で可決され、成立しました。
侮辱罪をめぐっては前述の通りテラスハウスの木村花さんの一件から厳罰化の議論が進み、今日に至ります。
今回の改正では、刑務所などに収容する刑罰のうち刑務作業の義務がある「懲役刑」と義務がない「禁錮刑」を廃止し、2つの刑を一本化する「拘禁刑」を新たに創設する。 拘禁刑では、刑務作業のほか、再犯防止のための教育などを受けることができるようになる。服役後に、再び犯罪を起こす「再犯者」を減らすため、立ち直りに力を入れる狙いがある。刑の種類の変更は、115年前に刑法が制定されて以降、初めて。
引用:FNNプライムオンライン
厳罰化の成立によって、静岡第5区の衆議院議員 細野豪志さんは「すでに効果が出ているような気がする」とコメントしています。
侮辱罪の厳罰化、リプを見ているとすでに効果が出ているような気がする。要するに直接会って言わないようなことはネットでも言わないということ。
— 細野豪志 (@hosono_54) June 13, 2022
侮辱してくる人に伝えるしかない
こうしたニュースに日々目を通している人が、日頃からネット上で誹謗中傷を繰り返す事も無いでしょうし、話題になった人の炎上に「野次馬」的に誹謗中傷をしたりもしないでしょう。
伝えるべき、知るべき人間はもっと人間性が欠けていて社会性の乏しい人たちであり、彼らに伝えるには彼らが調べそうなタイトルで発信するしかないと思います。
だからこそ本記事のタイトルには「AV女優」というワードを入れており、少しでも認知されたらと考えています。(もっと良いタイトルが有る筈)
自分の発信によりAV女優さん達への誹謗中傷が1つでも減る様であれば、それで結構です。皆さんも誹謗中傷をしている人にこのニュースが届く様、元リンクの記事や本記事を発信頂ければと思います。
読売新聞オンライン:https://www.yomiuri.co.jp/national/20210829-OYT1T50260/