はじめに
管理人の体験談です。
友人と1時間で食事を切り上げた話【27歳の結婚観と幸せの形】
結婚に対する考え方、幸せの形。27歳のリアルです。
始まりは1通のメッセージから
ある休日の昼下がり、ケータイに1件のメッセージ通知が着ていた。
「ご飯食べに行かない?」
メッセージの送り主とは7年程の付き合いがある友人だったが、ここ4か月程は疎遠になっていたので、久々に夕食に行く約束をした。
4か月も有れば何か変わっただろうし、わざわざ彼から誘ってくる事は過去を振返ってみると殆どなかった。となれば重大な話でも有るのか?マッチングアプリで付き合い始めた女の子と結婚するのか?
と、何か面白い話があるんじゃないかと期待しながら、夜18時ごろ車に乗り込み、彼の自宅へと向かった。
「何もないよ?」の喪失感
程なくして彼の自宅に付き、助手席に招き入れる。
「久々だね~」「4か月ぶり?」「寒い寒い」等と当たり障りない話をしながら車を出し、目的地へ向かう。
話の本題を先送りにするのは嫌いなので、1つ目の信号で止まったところで早速「そっちから誘ってくるなんて珍しいね。何か話したい事とか有った?」と聞く。
彼は「え?別に何もないよ。何となく久々だなぁって」。私は心底彼にガッカリした。私は彼の暇つぶしの道具ではないのだ。
ここで彼に別れを告げて帰路に就く事も考えたが、流石に大人げないし話を進めていけば何か面白い事が有るんじゃないかと考えながら、飲食店へ到着した。
共通の友人に紹介した女性
席について話し始めたのは、共通の友人の事だ。
共通の友人とは、私が高校生時代から10年以上の付き合いが有るゲーム仲間であり、旅行仲間であり、互いに切磋琢磨できる関係だ。
私の一番の友人と言っていいだろう。
そんな共通の友人と、食事に誘ってきた彼と私は18歳の時に知り合っている。自動車部品の開発ソフトについて学ぶ為、同じ専門学校に通っていたからだ。
食事に誘ってきた彼は、共通の友人に女性を紹介したのだという。
マッチングアプリ経由の彼女の友人で、「彼氏を探している」らしい。聞いた話をまとめると次に様になる。
ポイント
・同い年の27歳
・彼氏を探しているので共通の友人を紹介した
・メッセージのやり取りで、彼氏探しの女性は共通の友人に好意を抱いた
・2人は1度食事に出かけた
・食事に出かけた日の夜、共通の友人から彼氏探しの女性に今後の関係の「断り」の連絡を入れた
・断りを受けた女性は悲しみ泣いた
私はこの話を聞きながら、彼氏探しの女性は恋愛と結婚が目的になっているだけだと感じた。
バリキャリ母と、恋愛脳の27歳女性
紹介した女性について話を聞いた際に、絶対的に2人は相容れないと直ぐに分かった。
共通の友人の母は60歳近くになった今でも保険会社の営業部署に務め、部下を何人も受け持っている立場だ。日々メイクやスーツなどの身だしなみに力を入れ、車はセダンをチョイス。たまに帰省した息子である共通の友人には熱心に仕事論を説く、仕事と子育てを両立した所謂「バリキャリ」女性である。
一方で紹介された女性は恋愛が目的になっており、自分の好意を一方的にぶつけている。その女性を見た事もないし話したことも無いが、潜在的に専業主婦を夢見ているのだろうと推察する。
男にとって社会に出るまで一番身近な女性は母親だ。母親の生き方を20年近く肌で感じながら成長していく。
共通の友人にとって結婚をイメージする女性は、子育てを卒なく熟すバリキャリ女性なのである。
バリキャリ母を見てきた27歳の男性と、恋愛脳の27歳女性が仲良くなって付き合っていく未来が1ミリも感じられなかった。
今後の関係の断りの電話で女性側は泣いてしまったが、共通の友人は女性によって時間をロスしてしまったのだから、当然の結果だろう。女性側の感情の押し付けに付き合わされたのである。
恋愛脳男の先見性の無さ
2人は相容れない事を食事に誘ってきた彼に前述の話をし、納得出来ていない様だったが、ひと段落ついた所で彼の恋愛模様に触れ込んでみた。
すると彼は、結婚を前提に恋愛を進めているという。
予てより「マイホームを建てる事」「子供を何人も育てる事」「自分の家庭を築き上げる事」を夢として高らかに語っていた彼にとって、自分の夢に大きく前進している正に無我夢中の時である。
結婚、子供、家を目標に生きており順風満帆にも見えるが、彼にはすっぽりと抜け落ちてしまっている人生の大きな課題が有る。それは仕事だ。
仕事熱心なわけではなく、平日の夜や休日を利用してスキルアップを図る事もなく、職場内でも昇進/役職に就く事を目標にはしていない。
だが仕事熱心にならないと、彼の夢は成し遂げられないと私は考える。
昭和の様に日本の景気は右肩上がりではないし、むしろ右肩下がり左肩上がりだ。
同じ会社に長年勤めていればエスカレーター式で給料がガンガン上がる事は無く、成果を出し評価を高めなければ多くの給料は得られない。しかも自動車業界に務めているのだから猶更だ。
自動車部品開発を6年半生業としてきた私から言わせてもらうと、完全に先細り業界なのである。男性社員比率が非常に高い業種であり、年功序列が色濃く、自らアピールしていく気概と実力が無ければ上に立てない。
世界に目を向けると自動車販売台数は2018年をピークに減少しており、世界的な趨勢としてシェアリングエコノミーが台頭してきている為、自動車販売台数はさらに落ち込むだろう。
2020年はCOVID-19の影響で大幅に減少した為、その反動で2021年は持ち直す可能性はあるが、一過性のものだろうと私は考えている。
また、国や地域毎の環境規制により、同じ車を作っても売れる地域と売れない地域が生まれる。人気によって売れる売れないでは無く、規制によってそもそも販売できない地域が生まれてくる。
物を売る商売はスケール化する事で利益を大きくとる事が可能になる事は、誰だってわかると思う。同じものを同じ様に沢山作れば簡単で安くなるからだ。
反対に仕様違いが生まれると、生産ラインを増やしたり時間によって切り替えたり、混在しない様に検査工程が必要になったりと、とにかく手間が掛かりお金はもっと掛かる。
場所代、切り替えの時間、検査時間、全てにお金は必要で車両価格に乗っかってくる。
その分値上げして売れたら良いのだが、日本人は世界と比べて圧倒的に「値上げが下手」な人種だ。「お客様の為に頑張って低価格を実現しました!」と声高らかにアピールしてしまう。
利益幅は下がり、ただでさえ少ないパイの取り合いは過熱する。勤め人の給料は上がらないのだ。
安定とは成長し続ける事でしか得られない
繰り返しになるが、日本の自動車業界の行く末は暗いと考える。この話を彼に伝え「30,35歳にもなって上から指示された事ばっかりやって、自分が惨めに感じないのかよ。」「急に仕事を変えたくなっても、部下を管理した事もないし言われた事だけをやってきたオジサンなんか、誰も採る訳が無い」とも伝えた。
すると彼は「いい意味で安定しているよ。俺は。彼女と結婚を前提に付き合っているし、2人で貯金も始めているし」と答える。いや、答えになっていない。
彼の夢である結婚、子供、家を叶える為に、令和の27歳に出来る事は生活を維持する事ではなく成長しかない。
自分自身が変わり続け、会社の中で実力を示していかなければ給料は上がらないので、自慢の彼女から生まれた赤子を養う事は出来ないのだ。
「いい意味で安定している」と答えるには、私の日本の自動車業界悲観論を否定する考えであったり、彼女の親が資産家である事を示さなければ「いい意味で安定している」等とは口に出来ない。
彼の言葉に心底ウンザリした私は、「そろそろ帰るか!」と切り出し彼を車に乗せ家に送り届けた。
始まりから終わりまで1時間の話である。
友人と食事に出かけて1時間で帰宅した経験は、27年の人生で初めてだった。
結婚も子供も家も否定するつもりはない
最後に1つ言っておきたいのは、結婚も子供も家を持つ事も否定している訳ではない事だ。
昔は終身雇用が当たり前で給料は上がっていくので、安心して家を買うことが出来たし、子供に掛かる費用を計算出来た。だからこそみんな結婚して子供を産んで家を買う事が当たり前だったし、「幸せの形」で有った。
そこから生まれた私たちが同じ様な幸せの形を目指すの事を、当たり前のように考える人が多いのは事実だ、
しかし今は違う。昔と比べてエンタメは多様化してきているし、個人の趣味の幅は何倍にも広がった。
中高年層は若者に向けて「4,50代で独り身だと寂しいし惨めだよ。結婚した方が良いよ」と口を揃えて言うが、私は異を唱えたい。
今の若者は学生時代からスマートフォンが有り、インターネットに常時接続が当たり前の環境で育ってきた。SNSで仲間を見つける事が上手で、様々な方法で自分をアピールし、互いに認め合う土壌が有る。
中高年が経験している孤独感は、2,30年後の私達が同じように味わうとは到底考えられないのだ。結婚して子供を産まなければ寂しくて惨めになる等と、私達の2,30年後を憂いてもらう筋合いもないし、昔の成功体験や幸福論が続くと思っているのが大きな間違いだ。
結婚という形が無くても、個人で幸せの形は掴み取れるものだ。