はじめに
AVのドラマシーンの是非について
AVレビュー「脱ぐまでに30分掛かったので☆2」が浅すぎる理由
作り込まれたドラマシーンは時間が掛かって当然
昨今、「ただヤルだけ」のAVだけでなく重厚なドラマシーンが用意されたAVも数多く存在します。
妻と愛人と自分との三角関係を描くもの。上司と部下の仕事の様子を描くもの、教師と生徒の禁断の恋模様を描くもの等が有ります。また、ドラマシーンだけでなく「ナンパ企画」作品では、AV女優さんが慣れない逆ナンパに挑戦し、悪戦苦闘して困るもの。
アダルトビデオと言えど、アダルトではなくても通用する映像が30分程度用意される事が有りますよね。
出演者同士の関係性を細やかに描こうとすればする程、ドラマシーンは長めになります。
服を脱ぐまでに30分掛かったので☆2
有難い事にドラマシーンが有る事によって、登場人物の関係性をしっかりと理解出来るのですが、この演出が長く用意されている作品で散見されるレビューに、次のようなものが有ります。
注意ポイント
・ドラマシーンが長くて服を脱ぐのに30分も掛かったので☆2
・早く脱がせてほしい
彼らの言い分は「セックスを見たくてAVを買ったのに、貴重な収録時間の内の30分もドラマシーンを入れるのなら、1絡み増やせたのではないか」でしょう。
確かに30分も有ればフェラ抜きチャプターは余裕ですし、本番有りのチャプターを追加する事も可能です。
でもレビューの☆を下げるのは間違っていると考えます。
ドラマシーンはその後のセックスのシコリティを上げるもの
ドラマシーンが長く細やかに描かれる事によって、出演者の関係性を深く理解する事に繋がります。
セックスに至るまでの背景や心情の移り変わりを視聴者側にインプット出来るので、セックスに「説得力」が生まれるのです。ただ出会った瞬間から好き好き同士でセックスするのではなく、妻の目を盗んで不倫していたり、仕事では厳しい指導をしてくる女上司が、2人きりになると甘えてきたりーーー
2人の関係性の理解が深ければ深いほど、セックスにも深みが増してくるのです。
テレビドラマでも同じことが言えるでしょう。
出会った時は意識もしていなかった同僚。一緒に仕事をして飲み会に行って同じ時を過ごしていくと段々と気になってしまい、思いを振り絞って告白してキスをする。
最初から馬が合わなくて言い合いばかりだった2人だけれど、急に離れると言い合いしていた関係性が恋しくなって、自分の本当の気持ちに気付いて付き合い始める。(最後から2番目の恋の、中村貴一さんと小泉今日子さんの関係性)
ゴールは「結ばれる事」に設定されて、が紆余曲折有りながらも2人がゴールに向かって一緒に走り、手を繋いでゴールしてくれるから応援したくなり、面白いと思えるのです。
それをAVに置き換えたらどうか。ゴールは「セックスする事」に設定されるので、セックスに至るまでの背景が描かれたら応援したくなるし、抜き甲斐が増す、すなわちシコリティが上がるのでは無いでしょうか。
難しい演技に挑戦した事に感謝しよう
セックスとドラマでは求められる演技力は違います。
セックスではラブラブ感を演出したりイヤイヤ感を演出したり、とにかく気持ち良い姿を演出ますが、ドラマシーンでは「フラットな関係性」を演出する必要が有ります。
普段の表情を設定上の役に入り込んで演技をしなくてはなりません。
初めてドラマものに出演する場合は、デビュー作から培ってきた技術は通用しない場面に遭遇しますので、戸惑う事や難しさを感じる事が有るでしょう。それでも頑張って演じてくれているのですから、我々はしっかりと見る必要があるのです。
ドラマシーンはシコリティを上げるために有るので、30分も掛かったからと決して☆を下げない様に。
非常に浅いレビューに見えますよ。